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ロルフメソッドとは?

What’s Rolf Method?ロルフメソッドとは?

<からだかわる・こころかわる・生き方かわる>

からだかわる・こころかわる・生き方かわる

ロルフメソッドとは、米国 アイダ・ P・ロルフ博士が開発、発展させた身体構造統合メソッドです。

私たちは生まれてから、大人になるまで、人間特有の直立二足歩行を中心に、身体と地球の重力とのバランス、関係性を発達させていくプロセスを続けているとも言えます。
しかし人生において、その発達プロセスが、必ずしも順調にいくわけではありません。

出産時の鉗子分娩や帝王切開、バーストラウマ、無意識への刷り込みが影響を与えやすい幼児期の教育や、親との関係性、また親の振る舞いの模倣や、学校や習い事での間違った体への指導などで、純粋な発達が阻害される事もあります。
病気や事故、つまづいて転んだ、何かにぶつけた、という小さなケガさえも、身体はそのストレスに代償を払い、歪み、ズレを生じます。
また、社会環境や対人関係の中で負った、肉体的、心理的恐怖、度重なる恥や怒りなどの感情体験は、トラウマとなり、身体を緊張、凍りつかせ、場合によっては、未解消のエネルギーの塊として身体の奥に残ったまま、その後長きに渡り、心身に影響を与えていきます。

このような、人生の一連の出来事は、身体を内側から感じる事を避け、視覚や思考を優先して生きるようにさせていきます。
その結果、身体への気づきは薄れ、重力とのバランスを欠いたその身体は、手足が胴体に引き込まれ、背中がまがり、何かから、自分を守るように、筋肉を鎧化し、さまざまな個人的習慣と合わさって、その人特有の姿勢、有り様を形成していきます。
そのような有り様から繰り返す機能的ではない動きや、合理的ではない判断、本来の自分らしくない思考や行動が、パターン化され、心身の秩序を乱し、徐々に生きる事のバランスを欠いていきます。

ロルフメソッドとは、

”重力との関係性を取り戻し、秩序を欠いた状態(ランダム)から秩序がある状態(ノーマル)へ身体構造を再編成すること”

といえます。

秩序を取り戻した身体は、その人の古い生き方のパターンから、本来の自分らしい、新しい生き方に変え、人生をより充実なものにし、豊かにしてくれるでしょう。

ロルフメソッドは、全10回のセッションを通じて、身体構造を再編成していきますが、
RolfMethod NORMALBODYでは、以下の5つの要素を大切にしています。

重力

Gravity重力

ロルフメソッドの核となる重力と人との関係性は大切な要素となります。
重力は人類にとってだけではなく、生命の進化に大きく影響を与えてきました。「生命エネルギー」「万物の創造エネルギー」とも呼ばれています。直立する人間にとって、その重力とポジティブな関係性を持つにはどうすればよいかという問いが、身体構造を再編成し、最適化する、というロルフメソッドの開発と、発展ににつながりました。

ロルフ博士の有名な言葉

”Gravity is the therapist.”
重力がセラピストなのです。

は”重力とのポジティブな関係性がつくれれば、後は重力がいろんな事を健全にしてくれるでしょう。”との解釈ができます。

ライン

Line ライン

ロルフ博士は人の中心を通る「ライン」の概念を重要視しました。ヒトのことを”ラインのまわりにできた何か”という言い方を残しています。
「ライン」は体節の水平性のバランスが取れることで、上下を貫く垂直線として現れてきます。その「ライン」が人と重力場の関係性をつくっていきます。それは、硬い棒のようなものではなく、もっと柔軟で、動的なものです。
「ライン」中心軸が目覚めてくると、身体が上下に拡張し、全ての動きが身体の中心であるコアから起こり、より容易に、スムーズになっていきます。心理的にも、自分の中心にいて安定している感覚、今ここにいて平和な感覚などが現れてきます。
ロルフ博士は”身体が重力場で安定しなければ、心理的にも安心と感じる事はできない”と語っています。

筋膜

Fascia筋膜

ロルフ博士は、50年以上も前から筋膜を「身体構造を形作る器官」として注目していました。この筋膜の網状のネットワークは、ボディースーツのように身体全体を包み込み、筋肉、骨だけではなく、身体中のあらゆる所に繋がっています。
筋膜がストレスや、外傷、癖や反復的習慣等、なんらかの原因で硬くなったり、縮んだり、捻れたりする事で、身体構造が歪み、秩序を欠いていきます。
ロルフメソッドでは、この可塑性がある筋膜に着目し、筋膜を変化させる事で、身体構造を再編成させていきます。
また、筋膜については、まだ研究途上であり、プラクティショナーで、世界的な筋膜の研究者 Robert Schleip やTomas Myersらが、その研究と、見識を世界に広めるため尽力しています。

統合

Integration統合

ロルフメソッド・ベーシック10セッションでは、後半の3セッションは統合のセッションに当てられます。
世の中には身体技法、治療法が沢山あり、大体のものが、身体を変化させたり、緩めたりはしますが、統合という概念を持っているものは、ほとんどありません。
身体の統合とは各体節、パーツに関係性を持たせ、繋げ、ひとつのユニットににまとめあげると言う事です。ロルフメソッドでは、重力との関係性においてそれを達成していきます。大げさにいえば、重力場である地球との統合をも、視野に入れているのです。身体が統合された人は、心理的にも、自分が自分であること、自分らしく生きることを、より容易にするでしょう。その結果、自分の潜在能力を十分発揮することが出来るのです。

アウェアネス

Awarenessアウェアネス

アウェアネスは”気づき”とも訳されます。現代人は社会生活のうえで思考に拠るところが大きく、身体に対する気づきが希薄になりがちです。
つまり思考優先で、身体感覚が鈍く、感じること、身体の声を聴くことが後回しになり、多くの人は、自己と身体と心が分裂しているのです。
気づきのセラピーと言われる、ゲシュタルト療法の創始者であり、ロルフ博士と親交があった、フリッツ・パールズは

”我々は「私が身体を持っている」と言う。そのように言うとき、我々は自己を分裂させている。「身体が私である」と言うべきなのだ。”

と言っています。
統合とは、実は身体構造の物理的な統合だけではなく、自己が自分の一部として、もう一度身体と心を取り戻す事なのです。セッションでは外側から内側へ、思考から身体感覚へ意識を向けて行くことで、その感覚を取り戻していきます。ロルフメソッドが治療目的ではなく、ボディーワークと言われるゆえんでもあります。

フレッド・アステア

フレッド・アステア

余談ですが、当時ロルフ博士が唯一、ロルフメソッドをする必要がない、と言ったのは、ダンサーのFred Astaire(フレッド・アステア)でした。

また、ロルフ博士は、古代エジプトの偶像を気に入ってよく見ていたそうです。偶像に身体構造が統合された姿を見ていたのです。

ミケランジェロ

ミケランジェロ《ダビデ》1501-1504

The best artist has that thought alone Which is contained within the marble shell; The sculptor’s hand can only break the spell To free the figures slumbering in the stone.

   Michelangelo


最高の芸術家は大理石の中に埋まっているアイデアを持っている。彫刻家の手によってのみ呪縛を解いて石の中で眠っている姿を自由にさせる。
   
   ミケランジェロ

Founder Ida .P.Rolf.Ph.D(1896-1979)
創始者 アイダ・P・ロルフ博士

創始者 アイダ・P・ロルフ博士

アイダ・ P・ロルフ博士

ロルフメソッドの創始者、アイダ・ロルフ博士はニューヨークで生まれました。
1920年にコロンビア大学医学部で生化学の博士号を取得し、その後12年間ロックフェラー研究所の有機化学および化学療法の部門で働いていました。当時の女性としては、大変優れた業績だったようです。

その後、彼女自身と家族の健康問題を解決する為に、オステオパシーやカイロプラクティック、ヨガ、アレキサンダー・テクニーク等を研究します。そういった経緯から、ロルフ博士が他人に施術を始めたのは主婦になり、40歳を過ぎてからでした。
彼女のマンハッタンのアパートには、助けを求める人の予約でいっぱいだったという有名な逸話、また彼女は人の身体の中が見えていた等の不思議な逸話も残っています。 博士が施術を続ける中で、筋膜に圧を加えると、組織が動くことを発見しました。そしてこの時、(組織を本来あるべき位置に保持して,動かし、身体の構造をを変化させる)というロルフメソッドの基本原理が生まれたのです。

1960 年代のアメリカでは、人間の潜在能力を探求しようとする潮流、ヒューマン・ポテンシャル・ムーブメント(人間性回復運動)が起こっていましたが、その中心が、カリフォルニア州ビッグ・サーにある、エサレン研究所でした。そこでゲシュタルト・セラピーの創始者であるフリッツ・パールズ、フェルデンクライスメソッドの創始者、モーシェ・フェルデンクライス等との出会いがあります。
特にモーシェとは、プライベートでも仲が良かったようです。そのエサレンで、ロルフ博士はロルフメソッドの施術者と教師の養成を始めます。より多くの生徒がトレーニングクラスへ入りたがりましたが、ロルフ博士はなかなかそれを許可しなかったようです。ちなみにその時エサレンのレストランで働いていた、博士の直弟子、Neal Powers氏もクラスへ入れてもらうのに苦労したそうです。

Rolfing


ロルフ博士は、その後も30年の歳月をかけて、さらにその技法を洗練させると共に、プラクティショナー(施術者)養成のためのトレーニングプログラムを開発しました。そこで博士が利用したのが、10セッションの意図と原理を系統立て、施術者の道標とする、‘recipe(レシピ)’ を考案することでした。
現在も、このロルフ博士が遺したレシピが世界の沢山の養成機関で様々な解釈のもと、伝承されています。

RolfMethod NORMALBODYでは、このレシピをなるべくオリジナル(原型)のまま再現、クライアントへ提供し、後世へ伝承すべく活動しています。
ロルフ博士のレシピは、多様の意味が秘められた、人類にとってのギフトなのです。